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唯一明らかなことは、僕はもっとタフにならなければならないということだ。結局のところ精神的な病はその人間自身の弱さに起因する。自分自身が直面している現実を咀嚼し嚥下するだけの力が足りないのだ。

 

人は皆幸せになるために生きていて、僕にも当然幸せになる権利があると信じて疑わなかった。けれどその認識は間違っていたらしい。この世界はあまりにも不条理だ。幸福になるか不幸になるかについて人間にどれだけの裁量が与えられているのだろう。どのようなやり方をもってしても不幸にしかなり得なかったであろう人生が現に存在する中で、万人が幸福になるための方法を声高に説く人々がどれだけ浅ましく思えることだろう。

 

生きるということと幸せになるということを結びつけるべきではないのだ。幸せになろうが不幸せになろうが僕たちは生きなければならない。「それでも」生きていくしかないのだ。